「コロナ禍と地域衰退-地域経済の将来を考える」2022年度研究会を開催

12月18日(土)、自治労とやま会館において、埼玉大学大学院人文社会科学研究科の宮﨑雅人教授を講師にお招きし、「コロナ禍と地域衰退」と題して自治研センター研究会を開催しました。

講演では、宮﨑教授の著書「地域衰退」(2021)での「基盤産業の衰退が地域の衰退をもたらす」という議論を踏まえつつ、新型コロナウイルス感染拡大後の地域経済の実態を検証し、地域経済を再生するためにはどうすればいいのか論じていただきました。

教授の著書「地域衰退」では、製造業、観光業、農林業、旧炭産地などが衰退して、それに代わる次なる基盤産業が興っていない地域は衰退している一方で、一定の人口規模の都市では、「事業所サービス業」という新たな基盤産業によって衰退を免れていると指摘されています。そのうえで「コロナ禍」によって人の外出機会が減少し、飲食業やアパレル関連産業、インバウンドの需要の消失によって観光業などが打撃を受けている-人が移動しなければ成り立たない産業が大きな影響を受けているという現状を解説していただきました。

こうした中、疲弊した地域経済を立て直す「万能の魔法の杖」はないが、大都市から情報通信などの事業所サービス業を移入することやその土地ならではの強みと専門性を活用すること。そして、国も集権的に地方創生で自治体に丸投げするのではなく、東京一極集中を改めて真の地方分権を進めるなど、もっと主体的に政策を展開しなければならないと強調されました。