第13回地方自治研究北信地区集会が開催されました

2019年11月22日から23日までの2日間、富山市において「人口減少時代のまちづくり」をテーマに、第13回地方自治研究北信地区集会が開かれ、富山、石川、福井、長野の4県から102人が参加しました。

【本当の危機はこれから】
初日の基調講演では、諸富徹京都大学大学院教授が、「人口減少時代のまちづくり~成熟型のまちづくりへ~」と題して講演を行いました。

諸富教授は、人口減少と高齢化が進む日本の本当の危機はこれからやってくる。上下水道や交通ネットワークといった身近な公共インフラの維持・更新、空き家問題への対策には膨大な費用がかかるが、自治体財政は厳しい状況が続いている。この危機を逆に「住みよい都市」実現のチャンスととらえ、「成熟型都市経営」への転換が必要と指摘。コンパクトなまちづくりと再生可能エネルギーなど地域資源の活用による循環型地域経済の促進について、ドイツの電気・公共交通などの公益事業体など具体的な事例を紹介しながら講演しました。

つづいて、朝日町長の笹原靖直氏、朝日町移住定住相談員の善田洋一郎氏、諸富教授をパネリストにパネルディスカッションが行われました。

笹原朝日町長は、町民参加の「町再生会議」の提言を反映した子育て応援事業、移住・定住・交流事業、健康づくり事業など意欲的に進めている事業について紹介するとともに、消滅可能性都市のレッテルを返上すべく、危機感を強く持って取り組んでいることを熱く訴えました。
県外から移住し、現在町の移住定住相談員として活動している善田氏は自らが委員として参加した再生会議での町民の自由な発想、提言を引き出す運営に感心したことなどを具体的に報告しました。諸富教授を交えて、人口減少時代のまちづくりについて、集会参加者からの質問に答えながら自治体首長、住民の視点から考察を深めました。

【地域の課題を考える】 

2日目は、5つの分科会に分かれてレポートにもとづいて討論と交流が行われました。
 第1分科会では、「基礎自治体の財政と公共サービスのあり方」をテーマに、。、喫緊の課題といえる今後の公共サービスあり方ついて、講演と自治体の財政分析、民間委託の事例報告を踏まえ討論を深めました。

第2分科会では、「持続可能な社会づくり」をテーマに、再生可能エネルギーを普及に焦点を当てて。エネルギーの地産地消や行政・市民による独自のエネルギー開発の取り組み、地域循環型経済など住民参加の持続可能な社会づくりについて、講演や実践報告に学びました。

第3分科会では、「安心・安全なまちづくり」をテーマに、住民の安全、安心を確保するための「防災対策」について、気象予報士の講演を受け、ワークショップで課題解決に向け討論を深めました。

第4分科会では、「多文化共生のまちづくり」をテーマに、自治体における外国籍職員の採用、日本語教育を進めている団体の事例報告から学び、自治体職員としてどう取り組むべきか考えました。

第5分科会のフィールドワークでは、富山市の担当者から「公共交通を柱としたまちづくり」について説明を受けた後、冨岩クルーズ、岩瀬のり街歩き、ライトレール乗車を体験し、富山市のまちづくりを肌で感じ取りました。